ニキビはなぜできるのでしょうか?ニキビは医学的に「尋常性ざ瘡」とよばれます。ニキビの初期段階が「コメド」です。ニキビに悩む多くの人にとって、このコメドが最初のステップです。では、このコメドの原因は何なのでしょうか?
コメドは、医学的には「面皰(めんぽう)」と呼ばれます。このコメドができる原因を知ることが、ニキビ予防・対策の第一歩です。ここでは、ニキビとコメドができるメカニズム、その根本的な原因、対処法について詳しく解説します。
コメドとは?ニキビの始まりの段階
コメドの原因を探る前に、まずニキビができる場所について知っておく必要があります。
ヒトの毛穴は3種類あります (図1)。
- 脂腺性毛包: ほとんど毛が目立たない代わりに、皮脂腺が大きく発達した毛穴。
- 毛性毛包: 毛髪やヒゲなどの太い毛が生える毛穴。
- 軟毛性毛包: 産毛のような細い毛が生える毛穴。
このなかで、ニキビ(コメド)は「脂腺性毛包」だけにできるのです 。脂腺性毛包は顔や胸の中央、背中の中央に多く存在しています 。そのため、ニキビは顔にできやすいのです 。

ニキビのすべての始まりは、「マイクロコメド(微小面皰)」と呼ばれる目に見えないほどの小さな毛穴のふくらみです。手で触るとザラツキを感じることがあるかもしれません。
このマイクロコメドができる「原因」は、毛穴周りの表皮ターンオーバーが乱れ、毛穴の内側の角層が厚くなることです。これにより、毛穴の入り口が狭くなり、皮脂が毛穴の中にたまり始めた状態をマイクロコメドといいます。
マイクロコメドの段階では毛穴の出口はまだ塞がっていませんが、皮脂や角質でできた塊(角栓)で毛穴が塞がると、皮脂を排出することができずに皮脂がたまります。この皮脂が過剰にたまって毛穴がふくらんだ状態が「コメド(面皰)」です。
コメドには2種類あります。
- 白ニキビ(閉鎖面皰): コメドのできはじめで、角栓が毛穴の内部にあり、皮膚がふくらんだ状態です。
- 黒ニキビ(開放面皰) : 角栓が毛穴の出口まで押し上げられ、毛穴内部が黒く見える状態です。
要注意!コメドを放置すると「炎症ニキビ」に
コメド(白ニキビ・黒ニキビ)は、まだ炎症が起きていないニキビの初期段階です。
しかし、毛穴の中でアクネ菌が増えて活発になると、皮脂を分解して刺激物を作ったり、免疫細胞がアクネ菌を攻撃したりすることで「炎症」が起こります。
こうして毛穴周りが赤く腫れて盛り上がった状態が「赤ニキビ」です。さらに炎症が悪化して黄色い膿(うみ)がたまると「黄ニキビ」へと進行してしまいます(図2)。

なぜコメドはできる?
主な3つの原因
コメドが発生し、ニキビへと進行してしまう背景には、主に以下の3つの原因があります(図3)。
- 皮脂分泌が盛んになる
- 角化異常が進行する(毛穴が詰まりやすくなる)
- アクネ菌が増えやすい環境になる
これらの原因がどのようにコメドの発生に関わっているのか、詳しく見ていきましょう。

原因①皮脂分泌が盛んになる
皮脂の分泌には、男性ホルモンが影響しています。特に思春期にはこれらのホルモン分泌が活発になるため、皮脂の分泌量が増え、ニキビ(コメド)ができやすくなります 。
また、たまった皮脂は、ニキビの原因菌であるアクネ菌のエサになります。
原因②角化異常(毛穴の詰まり)
コメドの直接的な引き金となるのが「毛穴の詰まり」です。
通常、肌の表皮はターンオーバーによって新しく生まれ変わっていますが、このサイクルが乱れると「角化異常」が起こりやすくなります。
角化異常とは、毛穴周りの角層が厚くなり、うまく剥がれ落ちなくなることです。これにより毛穴の出口が狭くなり、皮脂や角質が「角栓」となって詰まりやすくなります。
ターンオーバーが乱れる要因としては、睡眠不足、疲労、紫外線による刺激、肌の乾燥などが挙げられます。
原因③ アクネ菌が増えやすい環境になる
アクネ菌は、健康な肌にも存在する常在菌の一種です。この菌は、脂質(皮脂)を好み、酸素を嫌うという特徴があります。
そのため、角化異常で毛穴の出口が塞がれ、皮脂がたまった毛穴の中は、アクネ菌にとって非常に増えやすい環境となります。
コメドの「原因」への対処法と有効成分
コメドの原因を踏まえ、ニキビを予防・ケアするために有効な対処法には以下の4種類があります。なお、実際のニキビケア製品は、これらの対処ができる有効成分を組み合わせて作られています。
- 角層剥離・溶解: 余分な角質をやわらかくしたり、はがれやすくしたりすることで、コメドの原因である角栓(毛穴の詰まり)を防ぎます。
- 殺菌:コメド内部で増えやすいアクネ菌の増加を抑えます。これは予防からニキビのケアまでどの段階でも効果的です。
- 抗炎症:コメドが進行し、赤ニキビ(炎症性ニキビ)になった場合の炎症を抑え、悪化を防ぐことが期待できます。
- 皮脂抑制:コメドの原因である皮脂の分泌をコントロールし、ニキビの発生や進行を抑えます。
大人ニキビと思春期ニキビの違い
思春期に多くの方がニキビを経験しますが、20代になってもニキビ(大人ニキビ)で悩まれている方は多くいます。大人ニキビは長く続いて重症化しやすく、同じ場所に繰り返しできる特徴があります。
大人ニキビにおけるコメドの原因は、思春期ニキビの原因である「皮脂過剰やホルモンバランス」に加えて、「肌の乾燥」も大きな要因と考えられています。肌が乾燥するとターンオーバーが乱れて毛穴が塞がれやすくなり、結果としてコメドができやすくなるのです。
そのため、大人ニキビの予防には、保湿や角層バリア機能の強化が重要です。また、「ストレス」もニキビを悪化させる要因のひとつであり、大人ニキビの原因ともなり得ます。
まとめ
このように、コメドができる原因には、皮脂、アクネ菌、はがれた角質(角化異常)が直接関わっています。さらに間接的な原因として、ストレス、食事、睡眠不足などの生活環境も影響します。そのため、皮脂分泌に影響するホルモン、アクネ菌を含む皮膚常在菌の種類や量、角質の剥離に関わるお肌の乾燥や表皮ターンオーバーなど、様々な側面からニキビの原因や対処についての研究に取り組んでいます。
監修医師
医療法人社団明海皮ふ科理事長 皮膚科専門医 本橋尚子先生
